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2013年01月10日

アルジャーノンに花束を

アルジャーノンに花束を

以前から読みたいと思っていた本を発見。
ダニエル・キイス作「アルジャーノンに花束を」
主人公、チャーリィ・ゴードン視点による一人称で書かれた作品。

あらすじ
~32歳で知的障害を持つチャーリィ・ゴードンが、手術によって天才へと変貌するというもの。
知的障害のチャーリィを、IQ向上手術を施したいという二人の博士が登場する。
博士達は、以前に動物実験を行い、一匹のねずみが発達的に知力を身につけたことで人体実験を試みる。
そのねずみの名前が「アルジャーノン」である。

手術で知力を得、勉学に励むことで天才となったチャーリィだが、少しずつ違和感が生まれてくる。
そして、アルジャーノンは死に、チャーリィも急速に知的障害者へと戻っていくのである~

この話の素晴らしさは、経過報告を書くチャーリィの文章で、知的になっていく様子を表している。

『 けえかほおこく1
ストラウスはかせわぼくが考えたことや思いだしたことやこれからぼくのまわりでおこたことわせんぶかいておきなさいといった。なぜだかわからないけれどもそれわ大せつなことでそれでぼくが使えるかどうかわかるのだそうです。』


IQ向上手術を行った結果、チャーリィに変化が出てくる。
文章が次第に書けるようになっていくのである。
そのことを実感したチャーリィは、貪欲に勉学に励むようになる。
20カ国もの言語を習得するほどである。

『彼らはわからないということを認めたがらない。ニーマーのような凡庸な人間がおこがましくも人間を天才に仕立てることに熱中すると言うのは逆接めいている』

手術をしてくれた博士以上の知力を身につけたチャーリィだが、精神的な部分には稚拙な自分が残っている。
そのことがより一層、賢くなった自分を追い込んでいく。
苦悩と葛藤がよく描かれている。

一心同体のように感じていたアルジャーノンの死が、自分の知力も同じ運命を辿るということを悟る。
そして、どんどん退行していく知能は、始めのように稚拙な文字へと変わっていく・・・

『どうしてまたばかになてしまたかほくがなにかわりいことをしたかわからない。きっと僕がいっしょけんめやらなかったからかもしれない誰かがぼくにまじないをかけたからかもしれない。でももうちょとりこーになってことばもみなわかるよおになるだろうな』


『ついしん どーかついでがあったらうらにわのアルジャーノンのおはかに花束をそなえてやってください。』

この言葉で締めくくられている。


喜劇と悲劇を乗り越え、その上でも未だなお優しいチャーリィに胸が熱くなった。
本当の人間味というものを教えてもらい、差別、嘲笑することなく笑顔で生きる教訓を授かった思いである。

本はいい!




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Posted by NOV at 03:07│Comments(0)その他
 
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